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ナスの葉にかすり状の白い斑点や新芽周辺がクモの糸で広がり、全体的に元気を失っている…それはハダニの仕業かもしれません。私もこのハダニの大量発生で毎年頭を悩ませています。
この記事ではハダニ被害が手遅れかどうかの見極め方から、効果的な農薬の選び方、家庭菜園で試せる木酢液や酢の使い方、症状のサインまであなたのナスを復活させるための方法を徹底解説します。
ナスにハダニが大量発生「手遅れ」の状態とは?
ナスがハダニの被害にあっても、必ずしも「手遅れ」とは限りません。
もちろん被害が甚大な場合は回復が難しいケースもありますが、早期発見と適切な対処によって、ナスを元気な状態に戻せる可能性は十分にあります。 ですから「もうダメだ」とすぐに諦めてしまうのはまだ早いかもしれません。

理由としては、ハダニ被害の進行度と、株自体の生命力によって回復の可能性が変わってくるからです。ハダニは非常に小さく、主に葉の裏に寄生してナスの汁を吸います。
被害が進行すると、葉緑素が破壊されて葉が白っぽくかすり状になり(いわゆる「葉がかれる」状態)光合成ができなくなって株全体の生育が悪くなります。放置すれば、葉が黄化、褐変して最終的には落葉し、実つきも悪くなり、最悪の場合、株全体が枯れてしまうこともあります。
ハダニ被害で「手遅れ」とされる症状は?
一般的に、以下の様な状態が見られる場合、残念ながら回復はかなり難しい「手遅れ」の可能性が高いと言えます。
- 葉の状態: 株全体の葉の8割以上が白化・黄化・褐変し、触るとパリパリと乾燥して枯れている。
- 落葉: 被害によって葉がほとんど落ちてしまい、茎だけが目立つような状態。
- 生育の停止: 新しい葉や脇芽、花などが全く出てこず、株の成長が完全に止まっている。
- 糸の蔓延: 株全体が、ハダニが出すクモの巣のような細い糸で覆われている。
これらのサインが複数見られる場合は、株の体力が限界に達しており、ここから回復させるのは極めて困難です。
チェック項目 | 手遅れの可能性が高い状態 | まだ回復の可能性がある状態 |
---|---|---|
葉の色・状態 | 大部分が白・黄・褐色で枯れている | 白い斑点や部分的な変色だが、緑の部分も多い |
葉の量 | ほとんど落葉している | 葉は残っており被害は一部 |
株の生育 | 新しい葉や花が全く出ない | 生育は鈍いが、わずかに成長が見られる |
糸の蔓延度 | 株全体が糸で覆われている | 部分的に糸が見られる程度 |
ハダニで弱ったナスは回復する?諦めずに試したい初期対応
「手遅れ」の目安に当てはまらない場合、特に株にまだ緑色の葉が多く残っていたり、新しい芽が少しでも出ていたりするならば、回復の可能性は十分にあります。 諦めずに、できるだけ早く適切な対応を始めましょう。
理由としては、ハダニの数を減らし、株が回復するための環境を整えてあげれば、植物自身の生命力で再び元気を取り戻すことが期待できるからです。
★すぐに試したい初期対応
- 被害のひどい葉の除去
- 水流で洗い流す
- 適切な薬剤や対策の実施
黄化・褐変が著しい葉や、ハダニが密集している葉は思い切って取り除きましょう。これにより、ハダニの密度を物理的に減らすことができます。ただし、緑色の部分が多く残っている葉まで全て取る必要はありません。
私が最もオススメする方法は水で洗い流すことです。この方法は登録者数70万人を超える農業系ユーチューバーの塚原農園さんも推奨している方法になります。
ハダニは水に弱い性質があります。ホースの水流(強すぎない程度)で葉の裏を中心に株全体を洗い流すだけでも、ハダニの数を減らす効果が期待できます。特に乾燥している時期には、定期的な葉水が予防にも繋がります。
上記の応急処置と並行して、できるだけ速やかにハダニに効果のある薬剤(農薬)や、木酢液・酢などの自然由来の資材を用いた対策を行いましょう。(具体的な方法は後続の見出しで詳しく解説します)
重要なのは「少しでも早く気づき、すぐに行動すること」 です。被害が初期段階であるほど、回復の可能性は格段に高まります。日頃からナスの葉の裏をよく観察する習慣をつけ、異変に気づいたらすぐに対処しましょう。手遅れかもと思っても、これらの初期対応を試す価値は十分にあります。
私の畑では毎年ハダニが大量発生して8月~9月頃にナスが全滅してしまいます。ただ2年前くらいから白ナスを育てていますが、病気に強くハダニ被害も出ることがありません。ハダニ被害に困っている方はぜひ白ナスを1度育てて見て下さい。見た目は良くないですが味はとろとろで絶品ですよ。品種はとろーり旨なすです。
ナスのハダニ予防対策!農薬の選び方:駆除する3つのポイント
数ある農薬の中から、適切なものを選ぶためのポイントは以下の3つです。
- 必ず「ナス」への登録を確認する 農薬のラベルには「適用作物名」が記載されています。ここに「なす」または「野菜類」など、ナスが含まれる表記があることを必ず確認してください。登録のない農薬を使用することは法律で禁止されています。
- 「ハダニ類」への効果を確認する(殺ダニ剤を選ぶ) ハダニに効果を発揮するのは主に「殺ダニ剤」です。一般的な「殺虫剤」では効果がない場合もあります。ラベルの「適用病害虫名」に「ハダニ類」と記載があるかを確認しましょう。また、薬剤によって効果のあるハダニのステージ(卵、幼虫、若虫、成虫)が異なる場合があるので、可能であれば確認するとより効果的です。
- 作用性の異なる薬剤をローテーションで使う ハダニは同じ系統の薬剤を連続して使用すると、その薬剤が効きにくくなる「薬剤抵抗性」を発達させやすい害虫です。これを避けるため、作用性の異なる系統の薬剤を順番に使う(ローテーション散布) ことが非常に重要です。薬剤の系統はIRACコード(殺虫剤抵抗性対策委員会コード)などで確認できます。
成分系統(IRACコード例) | 主な特徴 | 注意点 | 薬剤例(要ナス登録確認) |
---|---|---|---|
METI系 (21Aなど) | 速効性があり、各ステージに有効なものが多い | 抵抗性が発達しやすい系統もある | ダニトロンフロアブル, コロマイト乳剤 など |
アミド系 (25など) | 主に幼若虫に効果。残効性が長いものも。 | 成虫への効果は低い場合がある | カネマイトフロアブル など |
ピラゾール系 (13など) | 神経系に作用。速効性。 | 抵抗性管理のためローテーション必須 | ダニゲッターフロアブル など |
その他新規系統 (33など) | 既存剤抵抗性ハダニにも有効な場合がある | 新しい系統は情報収集も重要 | ダニオーテフロアブル など |
ハダニの殺菌剤といえば「アファーム乳剤」ですが、ハダニ予防ということでオススメするのがこの「ダコニール1000」というプロの農家さんも使っている商品になります。
すでにハダニの被害が出ている場合は、プロ農家さんが家庭菜園の方にオススメしている農薬「アファーム乳剤」がおすすめです。60種以上の野菜と30種以上の害虫に登録があるので幅広く使えるのがいいですね。当然、ハダニにも有効です。
アファーム乳剤の効果を更に発揮する場合は「展着剤」を入れると良いです。展着剤は薬液の付着性を高めるのに使いますし、ダインは私の愛用品です。
ナスについたハダニは酢・木酢液は効果あるの?
食酢や木酢液(竹酢液を含む)は、ナスハダニに対してその活動を抑制したり、株に寄せ付けにくくしたりする一定の効果が期待できる場合はあります。しかし、農薬のように高い駆除効果や即効性を保証するものではありません。 そのため、これらはハダニの発生初期の予防的な対策や、他の防除方法と組み合わせる補助的な手段として捉えるのが現実的です。

理由としては、酢や木酢液は「農薬」として登録された資材ではなく、その効果や安全性、最適な使用方法が科学的に厳密に確立されているわけではないからです。
効果の現れ方は、ハダニの発生状況、希釈濃度、散布頻度、天候などの条件によって大きく変動します。また、ハダニを直接的に退治するというよりは、ハダニが嫌がる環境を作ったり、植物自体の抵抗力を高めたりといった間接的な効果を期待する側面が強いと考えられます。
すでにハダニが大発生してしまっている状況では、酢や木酢液だけで完全に抑え込むのは非常に困難です。これらの自然由来の資材の特性を理解した上で上手に活用することが大切です。
酢(食酢・穀物酢)のハダニへの効果と使い方・注意点
家庭にある身近な食酢(穀物酢など)をハダニ対策に利用する方法があります。
- 期待される効果
- 明確な殺ダニ効果は実証されていませんが、酸性の性質がハダニの活動を鈍らせたり、卵の孵化を妨げたりする可能性が指摘されています。忌避効果を期待する声もあります。
- 使い方(目安)
- 水で500〜1000倍程度に薄めて、スプレーボトルなどで散布します。特にハダニが潜みやすい葉の裏を中心に、株全体が軽く濡れる程度に吹き付けます。
散布頻度は効果の持続性が低いと考えられるため、発生初期には数日間隔で繰り返す必要があります。 - 注意点
- 濃度が濃すぎると、ナスの葉に薬害(葉焼け、縮れなど)を引き起こすリスクがあります。 必ず薄い濃度から試すようにしてください。効果の持続時間は短いと考えられます。
木酢液・竹酢液のハダニへの効果と使い方・注意点
木酢液(100均で販売してます)や竹酢液は、木炭や竹炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので有機農業などで利用されることがあります。
- 期待される効果
- 燻製のような独特の香り成分によるハダニの忌避効果(寄せ付けにくくする効果)が期待されます。
- 使い方(目安)
- 製品によって成分濃度や推奨される希釈倍率が大きく異なります。必ず購入した製品のラベル表示に従ってください。 一般的には200倍~1000倍程度の範囲で希釈して使用されることが多いです。
- 注意点
- 品質にばらつきがあり、粗悪品には有害な成分が含まれている可能性も指摘されています。信頼できるメーカーの製品を選び、成分表示を確認しましょう。
項目 | 酢(食酢・穀物酢など) | 木酢液・竹酢液 |
---|---|---|
主な期待効果 | 活動抑制、卵への影響 | 忌避効果、植物活性化 |
位置づけ | 補助的、予防的 | 補助的、予防的、土壌改良も |
使い方(希釈目安) | 水で500〜1000倍程度(※濃度注意) | 製品表示に従い200~1000倍等 |
主な注意点 | 濃度による薬害リスク、効果持続性、他害虫誘引 | 品質のばらつき、匂い、過剰使用リスク、要製品表示確認 |
農薬登録 | なし | なし(一部特定農薬指定あり) |
結論として、酢や木酢液は「万能薬」ではありません。 ハダニが少し見え始めた初期段階での予防策や、農薬の使用回数を減らすための補助的な手段として、注意点を守りながら試してみるのは良いでしょう。
しかし、効果が見られない場合や被害が拡大している場合は、ためらわずに他の有効な対策(適切な農薬の使用など)に切り替える判断も重要です。